大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋高等裁判所 昭和22年(ナ)50号 判決

原告

大西泰助

被告

愛知縣選擧管理委員會

主文

原告の訴はこれを却下する。

訴訟費用は原告の負擔とする。

請求の趣旨

昭和二十二年五月十一日名古屋市選擧管理委員會が選擧人加藤豐次郞よりした原告の當選の効力に關する異議申立に對しなした「大西泰助の當選はこれを無効とす」との旨の決定はこれを取消す。

訴訟費用は被告の負擔とする。

事實 (省略)

理由

地方自治法第六十六條第四項には「第一項の規定による都道府縣の選擧管理委員會の決定又は第二項の規定による裁決に不服がある者は、その決定書若しくは裁決書の交付を受けた日又は前項の規定による告示の日から三十日以内に、高等裁判所に出訴することができる」と定め、同條第二項には「前項の規定による市町村選擧管理委員會の決定に不服がある者は、都道府縣の選擧管理委員會に訴願することができる」と定め、さらに同條第七項には「第一項の規定による市町村の選擧管理委員會の決定に對しては、第二項の規定による裁決を受けた後でなければ裁判所に出訴することができない」と規定している。すなわち、市町村の選擧管理委員會の決定に不服ある者はまず都道府縣の選擧管理委員會に訴願し、その裁決を受け、この裁決に不服ある者が次で高等裁判所へ出訴することができる趣旨を明にしている。然るに、これを本件について見ると、原告は被告委員會の裁決に不服があるのではなくして(原告は該裁決の主文に異議なく、理由に承服しかねるというのであるが、地方自治法第六十六條第四項に所謂[裁決に不服がある」場合とはこのような場合を包合しないと解するを相當とするから、原告は該裁決に不服がないものというべきである)名古屋市選擧管理委員會の決定に不服ありとして、これが取消を求めるため、當裁判所に出訴したものであることは、その申立並に主張自體に照らし明瞭である。そうだとすると、原告の本訴は畢竟不適法は訴に歸着するといわねばならない。よつて本訴はこれを却下すべきものとし、地方自治法第六十六條第六項民事訴訟法第八十九條を適用して、主文の通り判決した次第である。

(藤江 茶谷 白木)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例